紀州鉱山概念図
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紀州鉱山は北山川、板屋川、楊枝川に囲まれた範囲に鉱区を広げていますが、本拠地は板屋地区と言ってよいでしょう。
小口谷地区は鉱山輸送網のジャンクションとして1号・2号隧道を通って板屋と直結しているほか、5号隧道で湯ノ口方面へ、8号隧道で八光竪坑方面へ通じていました。
湯ノ口地区は、採鉱上の拠点として木矢谷・湯ノ口・中央の各竪坑から搬出される鉱石や、採掘に向かう鉱夫の集散地となっていたようです。 各竪坑近辺や、上川(じょうせん)・惣房(そうぼう)地区は一般人の到達しにくい状況にあり、現状は不明です。 |
板 屋
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紀州鉱山の本拠地は紀和町・板屋地区にあった選鉱場です。総面積2200坪、選鉱能力は1日当たり1000トンと日本一の規模を誇っていたと言います。 現在はゲートボール場や住宅地として利用されていますが、コンクリートの柱や坑口が残っていて操業当時を偲ばせてくれます。 |
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閉山した鉱山には『負の遺産』が残ります。それは地底から絶え間なく湧出する坑廃水の浄化処理。 人間の手で掘り起こした地層には、地表には存在しない有毒物質が多く含まれ、それが地下水に溶けて坑口から流れ出てきます。 鉱業会社の責任として、無害な水に戻す処理が義務づけられているわけです。 閉山後33年たった今でも、坑廃水処理施設は稼動しています。 |
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選鉱で選り分けられて不要になった鉱石や、坑道を掘る際に出るズリを堆積する巨大なスペースが、鉱山資料館裏の板屋川対岸にありました。 現在も残っており、鉱物収集家が割ったと見られる鉱石の破片が散乱していました。 |
小口谷
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板屋へ通じる2号・1号隧道の小口谷坑口です。 軽トラックの脇に黄色のバッテリー機関車が待機していますが、これが坑道保守作業用の列車です。 |
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広大な敷地に操車場のように軌道が敷き詰められていた跡地は、現在『ふるさと特産物加工所』になっています。 小口谷から分岐して、八光竪坑・惣房へ向かう8号隧道があったようですが、現在は跡形もありません。 |
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撮影したのは平日の昼休みでしたが、13時前には作業員が機関車に乗り込み、湯ノ口方面へ走行していきました。 |
湯ノ口
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湯ノ口もジャンクション機能をもっていたようで、複線の軌道が温泉施設の建物方向へ向かって途切れているのがわかります。 湯治客を乗せてきたトロッコ電車が停車していました。 |
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トロッコ電車はここ湯ノ口で終点ですが、坑道保守用軌道はさらに南へ6号隧道が口を開けています。 坑口からは、鉱山特有のかび臭い、ひんやりした風が絶えず吹き出ていました。 小口谷で目撃したバッテリー機関車も湯ノ口には停車していなかったので、この坑内奥深くへ走っていったのでしょう。 |
トロッコ電車
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トロッコ電車は、鉱山操業当時の『人車』(鉱夫や便乗者を乗せる客車)を模して建造された列車です。 一般鉄道では「電車」とはモーターがついて自走できる列車を意味しますが、鉱山では電力で走る列車はすべて電車と呼ばれます。 |
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操業当時を偲ばせるトロッコ電車の車内。 バネがついていないので乗り心地はとてもワイルドでした。 |
ここでしか手に入らないトロッコTシャツ。 『鉱内電車』というロゴが素敵ですね。おみやげに是非1枚! |
熊野市紀和鉱山資料館
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鉱山資料館は板屋地区の選鉱所前にあり、紀州鉱山をはじめとする近代鉱山や中世鉱山の歴史・資料に加え、地域の民俗資料などが展示されています。 開館日や入館料については、紀和鉱山資料館公式ホームページをご覧ください。 |
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2階は中世鉱山・民俗資料が展示されています。 1階は近代鉱山展示で、操業時が再現されていました。 |
前庭には坑内トロッコや索道バケットが展示されていました。 大きなパンタグラフを付けた電気機関車が圧巻です。 |
構内には『鉱山乃足湯』があります。 入鹿温泉の湯がかけ流しで注がれており、誰でも無料で利用できます。 |
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三重県熊野市紀和町
JR紀勢本線熊野市駅から南紀広域バス(熊野古道瀞流荘線)で約45分。
アクセス情報については瀞流荘のホームページをご覧ください。 |