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神岡鉱山は、現在(1996年)操業している金属鉱山としては日本最大のものである。
主として鉛・亜鉛を採掘しているが、金・銀・銅をはじめ日本最大の鉱山の名に恥じない、多種の鉱物を含む鉱石が産出するのである。
鉱区は、大きくわけて栃洞鉱床・円山鉱床からなる栃洞鉱山と、池ノ山鉱床、南東部鉱床からなる茂住鉱山の2山で構成されている。
便宜上前者を「神岡地区」、後者を「茂住地区」と呼ぶが鉱山の正式な呼称ではない。
どちらも稼行中である。茂住坑は一時期休山していたが、平成10年度から操業を再開している。
茂住地区では、鉱山技術を活用して新規に空洞開削を行ない、「東京大学宇宙線研究所施設」が設置されているほか、活断層の調査研究なども行なわれている。
カミオカンデは、茂住の坑口からトロッコで15分ほど入った所、池の山の直下1000mにあり(地図参照)、厚さ1kmの岩盤を貫通してくる宇宙線を巨大な水槽でキャッチする装置である。1987年、超新星爆発に伴うニュートリノの放出を、世界で最初にキャッチしたのが「カミオカンデ」である。現在はさらに巨大な「スーパーカミオカンデ」が地の底から宇宙を睨み続けている。
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Mozumi Mine/Geology Lab
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Kamioka Mine/Vitriol Plant
神岡地区では、栃洞鉱床、円山鉱床からなる栃洞鉱山において鉱石の採掘も行っている。
また亜鉛の精錬および濃硫酸の生産を行っており、専用貨車で出荷している。
平成10年度は、神岡鉱山で採掘される鉱石の9割は神岡地区(栃洞鉱山)から出ているとの事である。
栃洞坑にも鉱山軌道があり、こちらの方は現在も坑内鉱石破砕室まで鉱石の運搬をしている。
電車はトロリーで、少量の資材運搬等にはバッテリー車を使用している。
基本的に鉱石・資材運搬以外は電車は使用しておらず、トラックレスマイニングで採掘している。
また、採鉱員や職員の入出坑はディーゼルエンジンの自動車を利用しており、過去の大鉱山で見られたようなケージは使われていない。
神岡鉱山の製品(濃硫酸)を搬出するために建設された鉄道である。
当初は国鉄線(現JR)であったが、第3セクター化された。
多角経営でコンビニなどもやっているが、名前が「ニュートリノ」であるのがおもしろい。
夏になると、GSAと称する企画があり、誰でも鉱山施設を見学できる。
トロッコに乗車して、坑内の見学が目玉である。
(参考資料)
戸塚洋二著「地底から宇宙をさぐる」(岩波書店)